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【派遣社員の時間外労働について】

2019/01/29(火)

派遣社員に残業を頼むことができるか?

 

労働基準法には「18時間、140時間」という法定労働時間が定められています。雇用側は原則として派遣社員に法定労働時間を超えて労働させることを禁じられています。

 

しかし経理事務であれば月末月初や決算時期などの繁忙期には業務が増加し、法定労働時間内では業務が完了せず時間外労働いわゆる「残業」が必要になります。派遣社員に残業を依頼する場合、または法定の休日に労働させる場合には、あらかじめ労使で書面による「時間外労働・休日労働に関する協定届」によって協定を交わし、これを所轄の労働基準監督署長に届け出ることが必要です。これは「労働基準法第36条(時間外・休日労働協定)」を根拠としているので「36協定(さぶろくきょうてい)」と呼ばれています。雇用側がこの協定に違反した場合には6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金と厳しい罰則が設けられています。

 

36協定」を締結し届け出ている場合には、協定で定める範囲内で1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超える残業が可能になりますが、その場合は残業代(時間外労働手当)が発生します。派遣社員の場合、残業代は通常賃金の25分増しの割増賃金を支払うことが必要です。

 

派遣元・派遣先の責任分担について

派遣社員の労働について法に定められた「派遣先が責任を負う」次項には、

・労働時間(労基法第3233条)

・休憩(34)休日(同35条)

・時間外・休日労働(同36条)

などが定められていますが、変形労働時間制等の協定の締結、届出(同32条の24)、時間外・休日労働の協定の締結、届出(同36条)に関しては派遣元がすることになります。派遣元が労働時間等の枠組みを設定し、派遣先はその枠組みに従って労働時間を管理することになります。例えば、派遣元と派遣先が「派遣社員の時間外労働が可能」という契約をしていたとしても、派遣元において36協定の締結を行い、労働基準監督署への届け出がされていなければ、派遣先では派遣社員に時間外労働や休日労働をさせることはできません。派遣元、派遣先といった派遣特有の責任分担には注意が必要です。

 

変形労働時間制での残業

 

経理事務のように比較的業務が少ない時期と時間外労働が予想される繁忙期が分かっているケースでは、閑散期の労働時間を短くする代わりに繁忙期の労働時間を長めに設定することができる「変形労働時間制」が活用できます。例えば月末に業務が増加する部署の場合、月の第1週から第3週までは週5日勤務で17時間働きます。月末の第4週は1日に10時間業務に当たった場合、12時間、週5日間で10時間の時間外労働がカウントされますが、「変形労働時間制」を採用した場合は4週間分の労働時間を合算して平均すると1週当たり38時間45分と法定労働時間の140時間を超えないので、第4週分の残業代を支払う必要がありません。「変形労働時間制」は1週間、1か月、1年単位で労働時間を設定できるため、1週間の平均労働時間が40時間を超えない範囲で自社の業務内容に合わせて労働時間を設けることができます。

 

変動労働制の様に会社が定める労働時間「所定労働時間」は法定労働時間の範囲内であることが条件になっています。所定労働時間を超過した労働に関しては割増賃金支払いの義務はありませんが、就業規則や契約で所定労働時間超過分に対しても割増賃金の支払いが設定されている場合は会社が設定した割増賃金が支払われます。法定労働時間を超えた残業に関しては25分増し以上の労働基準法で定められた残業代の支払い義務が生じます。

 

変形労働時間制の採用

 

変形労働時間制を採用する場合は「派遣元」において、

・変形労働時間制の協定を締結・所轄労働基準監督署に以下の内容を届け出る

①対象労働者の範囲

②対象期間(1か月を超え1年以内の期間)および起算日

③特定期間

④労働日および労働日ごとの労働時間

⑤労使協定の有効期間

・就業規則に変形労働時間制について定める

・労働者派遣契約において変形労働時間制が適用になる旨及びその内容を定めておく

・派遣労働者に対して労働時間等の労働条件を明示する

ことが必要です。

 

36協定だけは変形労働時間制を採用することはできません。また、就業後に急遽変形労働時間制を適用するということはできません。派遣社員の場合、就業に関しての契約は実際に業務をする派遣先企業ではなく派遣元企業と結ばれています。仮に派遣先企業で変形労働時間制について労使協定の締結や就業規則への記載があり、また派遣社員が業務をする部署において一緒に仕事をする人たちが変形労働時間制を採用していたとしても、派遣元で同様の取り決めがなされてない限り、派遣社員は変形労働時間制で働くことはできません。業務内容から変形労働時間制を採用したい場合は派遣元企業にその旨をはっきりと伝え、派遣元企業は労使協定締結、就業規則記載、労働者派遣契約の内容に責任を持ち、派遣社員に対しても事前にしっかりと通知しておく必要があります。

 

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